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台湾NCC,テレビ番組内のPPに罰金処分

台湾の独立規制機関である国家通信放送委員会(NCC)は10月21日,番組のなかに企業や商品の広告を明示しないままもぐりこませるプロダクト・プレイスメント(PP)を行っていたとされる複数の商業テレビ局に対し,「広告は番組と明確に分けねばならない」とするラジオテレビ法に違反するなどとして,最高で60万元(約165万円)の罰金処分を科した。

このうち民視テレビの人気連続ドラマ『娘家』は,今年8月に放送した番組のなかで,女優がスーパーで買い物をする際,コカコーラを手にして「私はコーラが一番好き」「飲むと気持ちが愉快になるの」などとせりふを述べたうえ,画面の三分の二をコカコーラが占めるときもあったとして,42万元(約115万円)の罰金を科された。

また,民視と中天は,「耐震性」の視点から取り上げた台北市西部の不動産物件のニュースのなかで,「住宅価格は(繁華街の)信義区の3分の1」などと実際には物件の広告と受け取れる報道をしていたなどとして,それぞれ60万元の罰金となった。こうしたNCCの措置に対し,ホテルの紹介をした際に「価格はとても公正」などのせりふがあったとして60万元の罰金を受けた中天の陳文茜キャスターは,「現在の台湾において商品情報は既に氾濫しており,NCCは私の専門性を侮辱した」と強く反発した。

台湾の放送関係の法律ではPPに関する明示的な規定はなく,PPが現れる以前の1982年にラジオテレビ法に追加された条文の中に,「広告は番組と明確に分けねばならない」と書かれているのだが,海外でPPの規制緩和の流れもある中,法改正を求める動きも出ている。

山田賢一