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2008年度民放キー局単体決算全社大幅減益,3社最終赤字

民放在京キー局の2008年度決算が出そろった。本業の儲けを示す単体の営業利益が全社で大幅な減益,そのうちテレビ朝日とテレビ東京の2社は赤字となった。また投資有価証券の評価損なども含めた純損益では,開局以来初の赤字となったTBSも含め,3社が最終赤字となった。

減収の最大の要因は広告収入の減少で,昨秋からの景気後退はもちろん,ネット広告の隆盛など複合的な要因が背景にあるとみられる。スポットCMは各社とも11.4%~12.9%減と大きな落ち込みを記録。また,タイム収入についても,北京オリンピックや開局50周年等の記念番組があったにも拘わらず,横ばいか,多くの社で減収となった。

そうしたなか,各社で放送外収入の拡大に努める動きが広がっている。『崖の上のポニョ』,『ROOKIES』,『相棒-劇場版-』,そして『おくりびと』などヒットに恵まれた映画事業,DVDや動画配信など番組の二次利用,そして小売事業の強化を図る動きが多くみられる。また一部に不動産事業で収益を上げる動きもある。

一方で,本業である「番組制作力強化」を目指す方向性では全社とも一致しており,優良なソフトを制作してマルチユースで利益を最大化するという,共通のテーマを追求している。しかし,広告収入の減少に歯止めがかからないなか,番組制作費の削減を余儀なくされており,少ない予算でいかに番組の質を上げていくのか,各社とも難しいかじ取りを迫られている。

小川浩司