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仏,テレビ公共放送機関を統合新生France Televisions が発足

フランスのテレビ部門の公共放送機関は,これまでFrance Televisions(FTV)という持ち株会社の傘下にF2などの放送局が子会社として置かれていた。しかし3月に放送法が改正された結果,これら子会社はFTVに統合され,社員数約1万1,000人の公共放送機関として再発足した。F2などは株式会社としての実体を失い,現在ではFTVがF2などの各チャンネルを放送している。今回FTVに統合されたのは,F2,F3,F4,F5とRFO(海外県・海外領土向けにテレビ2 チャンネルとラジオ放送,および本土のパリを中心とする地域向けテレビ放送を実施),およびその他の子会社などである。なお,F2など各チャンネルの編集権の独立は放送法に明記された。今回の改正に関しては,巨大化したために7分割されたかつてのフランス放送協会(ORTF)の再来との批判もあったが,新生FTVには民営化されたTF1や,ラジオ国内放送,国際放送,番組制作会社などは含まれず,ORTFの再来とまではいえない。

ORTFの7分割後,公共放送は互いに協調すべきであるとして同一人物を会長とする共通会長制度が導入され,さらに持ち株会社制度に移行して傘下の各局間の連携関係を強化してきたが,今回の改革はこうした動きをさらに推し進めたもの。改革の狙いは,各チャンネルの番組の調達と放送・配信をドラマなど分野別に一括管理し,インターネットやVODでの配信も含めた《media global》(グローバルメディア)としてのFTVの新たなコンテンツ戦略の推進にある。

豊田一夫