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09年度NHK予算案,13年ぶりに赤字

NHKは2009年1月14日,09年度収支予算・事業計画案を発表した。

それによると,事業収入は前年度予算額より124億円と1.9%増えて6,699億円となっている。このうち受信料収入は6,490億円で,これまでの決算で最高額だった2003年度の6,478億円を12億円上回っている。不祥事の影響で受信料収入が急落した05年度の6,024億円からすると466 億円増えている。

受信料の支払率は前年度末見込より0.7%向上させ,72.2%にするとしている。NHKは08年10月に公表した09年度からの3か年中期経営計画で 2011年度には支払率を75%に引き上げる目標を立てており,厳しい経済状況にもかかわらず,あえて支払率向上を打ち出し,中期計画の初年度を踏み出す決意を示している。

一方事業支出は,前年度予算額より256 億円と4.0%増えて6,728億円となっている。

国内放送費は3.0%増の2,858億円,国際放送費は16.5%増の129億円である。国際放送では,英語ニュースを毎正時に放送するほか,独自の英語番組,英語化番組の充実・強化をはかることにしている。

また,地上デジタル放送への切り替えに伴い,事業費158億円と中継施設などの建設費374億円を盛り込んでいる。

この結果,事業収支は29億円の赤字予算となった。赤字予算は阪神・淡路大震災の影響を受けた1996年度以来13年ぶりとなる。赤字分はこれまでに積み立てている財政安定のための繰越金から補する。

NHKの収支予算・事業計画案は,国会の承認を受けて本決まりとなる。

奥田良胤