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地デジ完全移行のための政府予算約600億円へ

2009年度政府予算が確定した。総務省は「地上デジタル総合推進対策」を策定し,09年度として総額600億円ほどを概算要求していた。これに対して財務省は,個別項目で多少減額をしたものの,全体ほぼ600億円の予算を内示し,閣議決定に至った。

主な内訳は,国民の理解醸成関係,受信側の取り組み,送信側の取り組み,アナログ放送終了にあたっての取り組み等の4つ。国民の理解醸成関係では,デジタル受信相談体制の充実・強化に76.7億円が盛り込まれた。これにより全国51か所でテレビ受信者支援センターが活動を本格化させる。

受信側の取り組みとしては,受信機器購入等の支援,高齢者・障害者等への働きかけ・サポート,受信障害対策共聴施設の改修の支援が新設され,拡充された辺地共聴施設の改修等の支援とあわせて,総額364.3億円が盛り込まれた。

一方送信側では,暫定的な衛星利用による難視聴対策が新設された。ただし全額国費で運営が計画されていたが,2億円ほど要求額を下回った。これにより,送信設備の一部は放送事業者負担となる。またアナログ放送終了の取り組み等でも,完全デジタル化のリハーサルで要求額が減額された。やはり放送事業者など関係者の負担を前提としないと,リハーサルは実現しなくなった。

以上の予算と体制により,地デジ完全移行のための取り組みが09年度から本格化する。アナログ終了は国策として行われるものだが,実態としては徐々に放送事業者の負担が増える方向となっている。

鈴木祐司