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番組制作費削減,ATPが「110番」開設

民放局の収益落ち込みに伴う制作費の削減は,制作プロダクションの経営に大きな影響を与えはじめており,東京と大阪で120社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は,2008年10月16日に番組制作に関する苦情を受付ける「制作費@110番」を設置してプロダクションからの情報を集め始めた。この電話窓口は,放送局が優越的な地位の乱用にあたるようなやり方で,制作会社に対して制作費の切り下げを要求するケースを想定して開設されたもので,相談内容は公表されていないが,11月末までに,すでに厳しい状況の報告があがっているという。

放送局が番組内容に変更がないにもかかわらず,経済的な理由で制作単価の一律カットをプロダクションに要求することは,下請法第4条5項の禁止事項である「買いたたき」に該当するが,弱い立場にあるプロダクションは従来から放送局が取引停止をちらつかせると逆らえないのが実態で,多くの場合は「泣き寝入り」になるという。こうしたことから「制作費@110番」では,独禁法や下請法の専門家に相談しながら個別の問題に対応している。

ATPは,制作費削減の影響は2009年春の放送番組改編期に深刻に出てくるのではないかと見ており,今後苦情が増えると予想している。さらに,景気の悪化に伴って金融機関が貸し渋りに出る状況が見られることから,プロダクションにつなぎ資金不足が起きることを憂慮し,在京の放送局に対して契約時に番組単価の一部を着手金として前払いするよう,要請を開始した。

奥田良胤