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情報通信法(仮称)の方向性にNHK, 民放連, 新聞協会が危惧を表明

総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長・堀部政男一橋大名誉教授)が2007年6月に公表した放送・通信の融合時代の法体系の方向性を示した「中間取りまとめ」に対し,NHKと民放連,新聞協会がコンテンツの規制強化につながりかねないとして言論・表現の自由の確保に危惧を表明する意見書を,それぞれ総務省に提出した。

研究会の「中間取りまとめ」は,現在,放送か通信かで区分しているもの,無線か有線かで区分しているものなど「縦割り型」の放送・通信関係の9つの法律を「情報通信法(仮称)」として1本化して,「コンテンツ」「プラットフォーム」「伝送インフラ」の3つのレイヤー(階層)を基軸に分類し,それぞれについて規律する「レイヤー型法体系」とすることを提言している。このうち「コンテンツ」に関しては,社会的機能・影響力に重点を置いて規律を再構成するとしており,インターネットでは公然性を有するものには「共通ルール」をつくり,有害コンテンツには規制の導入を検討するとしている。

「中間取りまとめ」に対して,NHKと新聞協会は7月20日に,民放連は7月23日に意見書を公表し,総務省に提出した。

意見書のなかでNHKは,

  • 情報内容に対する規律は,憲法で保障された表現の自由との関係において,社会的機能や社会的影響力があることをもって一般的に正当化されるものではない
  • レイヤー型法体系が,コンテンツに対する規制強化につながることがないよう,規律はその根拠について慎重な検討が必要であり,規律の対象範囲や内容には,十分な明白性,明確性が確保されなくてはならない
  • 新たな法体系の下でも視聴者全体によって支えられる公共放送としてNHK が位置付けられることが重要である

などと指摘している。

民放連は,

  • 言論表現の自由など国民の権利保障を基本理念として法に前置し,そのうえでメディアが果たす文化的役割やジャーナリズム機能を基本理念として踏まえるべきである
  • 通信コンテンツに対する規律の導入は,表現活動の制約につながる懸念を払拭できない。有害コンテンツの排除は関係事業者による自主的な取組みに委ねるべきである。インターネットに対しては原則として規制をかけるべきではない
  • 現行の地上放送の県域免許制度の仕組みは,将来にわたって堅持されるべきである

などと述べている。

また日本新聞協会は,

  • 中間とりまとめが示す方向で制度化されれば,言論・表現活動や報道のあり方にも重大な影響を及ぼす懸念がある
  • コンテンツを社会的影響力によって分類したり,インターネット上の表現を規制したりすることは,言論・表現活動や報道に対する公権力の介入につながり,憲法21条が保障する言論・表現の自由が脅かされることを危惧する
  • 現行の地上放送の県域免許制度の仕組みは,将来にわたって堅持されるべきである

などと指摘している。

「研究会」では,2007年12月を目途に最終報告書をまとめる予定である。

奥田良胤