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英Ofcom,C4財源見直しに着手

イギリスの放送と通信を規制監督するOfcom(Office of Communications)は6月13日,イギリスの公共サービス放送の一角を担うチャンネル4(以下,C4と表記)の支援策を,2007年後半に予定されている第2回公共サービス放送見直し(PSB Review)のなかで検討することを明らかにした。

C4は,1982年に放送を開始し,公共法人による広告放送財源の運営形態をとる放送事業者で,BBCや地上商業チャンネルのITVとFiveとともに,公共サービスチャンネルとして総合編成による幅広い放送の提供を義務づけられている。その一方,社会におけるマイノリティの嗜好に応えることや国内映画製作の新興など,C4ならではの独特な任務も課せられている。

Ofcomの調査によると,C4は近年急速に進むデジタル化とチャンネル競争のなかで,コストを削減しつつ一定のシェアを維持するという目標を達成するために,投資効果の低いニュース,時事報道,芸術,宗教といったジャンルの番組の放送量が減少し,購入番組の増大によってオリジナル番組の放送量が過去5 年あまりで6%減少するという事態に陥っている。最近では,リアリティショーでの人種差別的な放送など,放送倫理に抵触する問題を頻発させている。 Ofcomは,C4の将来像について,イギリス国内の公共サービス放送の維持と強化という文脈で検討し,C4存続の手立てをさぐることを決めた。放送を所管する文化メディアスポーツ相のジョウエル氏もこれに応え,6月20日に当面の措置として,C4のデジタル移行費をBBCの受信許可料から割り当てることを正式に表明した。

中村 美子