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ヨーロッパの放送機関,YouTubeと相次ぎ提携

動画共有サイトのYouTubeで,国際放送のRussia Today,France 24による映像配信が2007年6月,相次いで始まった。Russia-Todayは英語の,France 24は英・仏・アラビア語の各言語別で,公式ページを開設した。

ロシア・ノーボスチ通信社が運営するRussia Todayは,ノンスクランブルの衛星ニュースチャンネルで,1日24時間,英語で放送している。France 24は,同じくノンスクランブルの24時間ニュースチャンネルで,英語・仏語の各1チャンネルがあり,公共放送を傘下にもつ持株会社フランス・テレビジョンと,商業放送TF1により共同運営されている。

YouTubeで動画を公開している放送機関には,英BBC,独国際放送ドイチェ・ベレ,ポルトガルの国営放送RTP,スペインの商業放送antena3とCuatro TVなどがある。いずれもYouTubeに,映像コンテンツのショーケースとしての価値を見出し,これを視聴者とのアクセス回路の一つとして機能させている。

YouTubeは6月,9つの“各国版”ポータルを設けた(英・仏・蘭・伊・スペイン・ポーランド・アイルランド・ブラジル・日本)。言語別でなく国別にした点が特徴で,国ごとのアクセスランキング等を加え,ユーザー間の意見交換やコミュニティ形成を活発にし,利用を増やすねらいだ。これまで,結果的に,漠とした“世界中の,英語を解する人々”を対象としていたYouTubeが,国という単位で利用者を捉え直す一方で,動画共有サイトに,国境を越える情報プラットフォームの役割を期待し,伝送路の一つとして活用しようとする放送機関は,さらに増えそうだ。

伊藤 文