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米ネットワーク,視聴率が最悪の水準

米地上商業ネットワークテレビの視聴率の長期低落傾向が続く中,2006─2007年シーズン終盤で2つの「ワースト記録」が生まれ,業界で波紋を呼んでいる。

第一は,CBSネットワークの看板ニュース番組『CBS Evening News』の5月最終週の平均視聴者数が過去20年間で最低の550万人にまで落ち込んだというもの。同番組は今シーズン,3大ネットワーク史上初の女性単独アンカーとなるK.クーリック氏を抜擢し,その高額な年俸(約1,500万ドル)も含めシーズン当初の話題を独占,放送初日には1,300万人もの視聴者を獲得した。しかし,その後は視聴率の減少が止まらず,ライバルABCやNBCのニュースにも大きく水をあけられた。CBSはこの夏,インターネット等を通じて大規模キャンペーンを張り,巻き返しを図る計画だ。

第二は,NBCネットワークの今シーズンのプライムタイムの平均視聴者が480万人で1991年以来最悪の記録になったというもの。中でも象徴的なのは,同ネットワークが独占放送権を持つNHL(全米アイスホッケーリーグ)の6 月2 日に行われた優勝決定戦の中継(オタワ対アナハイム)で,視聴率は1.1%と同ネットワークのプライムタイム視聴率としては史上最悪,去年の優勝決定戦の視聴率(1.6%)と比べても大きく下がっている。

ニールセンやTNSメディアインテリジェンスといった各調査会社も,ネットワークテレビの2007年上半期の広告費が前年比減となったとの調査結果を相次いで発表している。視聴率低下をどう食い止めるのか,ネットワークの試行錯誤が続きそうだ。

米倉 律