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英視聴者電話参加番組で相次ぐ不祥事発覚

イギリスの放送界で,視聴者参加の生番組で「やらせ」や「だまし」など不祥事が相次いで発覚した。ことの発端は,公共放送BBCの子ども向け番組である。子ども番組『ブルー・ピーター』が06年11月にUNICEF基金への寄付を募る生放送番組で,クイズに回答者として電話参加する予定の少女が,技術的な問題でつながらず,急遽スタジオ見学に訪れていた少女に隣のスタジオから電話をかけさせたことが明らかになった。続いて,2007年4月には商業放送の朝の生ワイド番組『GMTV』で過去4年にわたり賞金がかかったクイズコーナーで,電話回線が閉じるかなり前に優勝者候補が絞られ,視聴者は知らずに電話をかけ続けていた,という疑惑が発覚した。

これらの不祥事の問題は,視聴者をだましたという事実だけでなく,視聴者から電話料金を不正に得たという金銭的な問題も抱えている。視聴者電話参加では,電話をかける視聴者の側が料金を負担する有料ダイヤルサービスが使用される。料金は1分あたり最大1.5ポンドで,通常の電話料金よりも高く設定され,電話料金収入は,電話会社,番組制作会社,放送局の3社で分配されることが多く,放送局の大きな収入源となっている。BBCの番組編集ガイドラインでは,有料ダイヤルサービスの使用は,慈善活動のアピール以外は禁止され,使用する場合は現場の幹部責任者の了承など,さまざまな注意が規定されている。 BBCは,改めてガイドラインの見直しと徹底を行うとしているが,放送通信機関のOfcomや電話料金の自主規制機関ICSTISもこの問題に取り組み始めている。

中村美子