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韓国,放送法改正案で IPTVも「放送」扱いに

独立行政機関の放送委員会は2007年3月27 日,「IPTV導入のための政策法案」及び「放送法改正意見案」を発表した。

改正法案では,サービスの特性に合わせて放送事業を大きく5つ(地上放送事業,有線放送事業,衛星放送事業,放送チャンネル使用事業,電光板放送など別途定められた放送事業)に分類し直すほか,「マルチメディア放送」の定義を新設するとしている。

新たに明記されたマルチメディア放送の定義は「TV放送,ラジオ放送,データ放送を複合的に送信する放送」となっており,これは現行の放送法に規定されている携帯端末向け放送に関する定義から,移動中の受信が主目的であるとする部分を削除したものに相当する。そのため,マルチメディア放送事業に参入した地上放送事業者は,地上DMBのみならず無線IPTVについてもサービスの実施が可能になる。

このように放送委員会は,IPTVが「放送」であると規定することで,放送法による規制の枠組み作りを推進しようとしている。

しかしその一方で,有線IPTVについては現在77 に放送圏域が分割されているケーブルテレビ同様,区域外送信が制限を受けることになる。

これについて通信業界からは,IPTVをケーブルテレビと同一の事業に分類し,同じ規制を適用するのは消費者の選択の権利を無視した発想だとする批判も出ている。

田中則広