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仏地上デジタル放送,HDTV導入へ

フランスの上下両院は2月22日,「放送の現 代化と未来のテレビに関する法律」を採択し, 放送法を改正して地上デジタル放送のカバー 地域の拡大とアナログ放送の段階的終了の法 的枠組みを定めた。さらに,HDTV放送や携 帯受信向け放送の導入が可能となった。

3月7日に公布された未来のテレビに関する 法律(以下,新法)による主な規定は以下のとおり。

  • 地上波によるアナログテレビ放送は2011年11月30日までに終了する
  • CSAはアナログからデジタルへの移行計画 を作成し,2008年3月31日から地域ごとに順次アナログ放送を終了させる
  • 無料チャンネルの受信機器購入を補助するた め,受信料免除世帯に対する支援基金が設 立される
  • 政府と各放送事業者で構成する公益団体が 4月中に設立され,アナログ放送終了と,視聴 者による継続的受信の確保について調整に あたるとともに,上記基金を管理する。毎月,それらの進捗状況を首相に報告する
  • 新法の公布から4か月以内に,無料チャンネ ルは地上波により人口の95%をカバーする
  • アナログ放送終了時には,全国放送事業者の免許期間は5年間延長される
  • アナログ放送終了にあたって,アナログ放送 免許中断への代償措置として,TF1,M6, Canal Plusにそれぞれボーナスチャンネルを1チャンネル付与する。その放送開始は2011年11月30日以降とする
  • 完全なアナログ放送終了まで,政府は毎年, デジタルへの移行状況に関する報告書を議 会に提出する。報告書には特に,県ごとのカバー率の進捗状況,世帯における受信設備の普及状況を含む
  • アナログ放送終了により利用可能となる周波 数の再配分については,その半分以上を放送に割り当てる
  • 国会議員で構成される委員会が設置され,アナログ放送終了と受信の継続性に関して提言を行う
  • CSAは免許の公募を行うに当たって,HDTV 放送や携帯受信向け放送の発展をはかる
  • 新法の公布から1年後に,CSAはHDTV放送や携帯受信向け放送の発展状況について大統領,上下両院議長に報告書を提出する
  • 無料チャンネルは地上波,衛星,ケーブルネッ トワークにより放送または配信され,人口の100%をカバーする
  • 新法の公布から3か月以内に,無料チャンネルは衛星サービスによる放送を開始する。そのサービスでは,公共放送France3のすべての地域チャンネルを同時配信する
  • CSAは,アナログ放送終了により利用可能となる周波数のうち,バンドIIIとバンドLの多くの部分をデジタルラジオに配分する
  • 新法公布の9か月後から,メーカーから小売業者へ出荷するテレビにデジタルに対応するデコーダー内蔵を義務づける。また12か月後 からは小売業者が消費者に販売するテレビにデコーダー内蔵を義務づける
  • 2008年12月1日以降,販売されるHDTVを受信可能なテレビや録画機などには,対応するデコーダー内蔵を義務づける

HDTV放送や携帯受信向け放送は,9月のワールドカップラグビー大会までには本放送が開始される見込みである。

豊田一夫