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インターネットで番組配信 民放キー局,相次いで事業計画を発表

在京キー局5社のうち,フジテレビ,日本テレビ,TBSの3社が7月に相次いで,インターネットを通じて,放送番組の配信を行う事業計画を発表した。

フジテレビは7月12日に,ブロードバンドでの動画配信「フジテレビOn Demand」を7月下旬から開始すると発表した。それによると,当初はCS放送「フジテレビ721・739」の番組をメインに有料で配信する。7月19 日には,日本テレビが,番組を有料で配信するVOD事業を秋に開始すると発表した。配信するのはバラエティ,ドラマ,ニュースなどで,保存番組15万本を再編集するほか,地上波テレビと連動させて,新しい番組の制作,ニュースの同時配信なども計画している。TBSは,「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」と共同で,モバイルやインターネットを利用したコンテンツ事業の拡大を目指して新しい企画会社「TCエンタテインメント」を8月上旬に設立すると,7月20日に発表した。

民放キー局が,相次いで番組のネット配信に参入する背景には,ブロードバンド・インターネットが2005年3月末には全世帯の40%に普及し,民放局にとって広告収入以外の新たな収入源となる可能性が高まってきたことがあるといわれる。動画配信サービスは,これまでインターネット事業者が行ってきたが,配信する番組の種類が豊富でなく,普及の壁となっていた。テレビ局のインターネットへの番組配信事業は,光ファイバーなどの整備が進むなかで,放送と通信の融合に拍車をかける可能性がある。

奥田良胤