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総務省,出資規制違反で民放71社に行政指導

総務省は,2005年3月2日,電波法に基づく総務省令「放送局の開設の根本的基準」に規定する“マスメディア集中排除原則”で定められた出資制限に違反していた放送事業者71社に対し,再発の防止を求めて警告と厳重注意の行政指導を行った。あわせて総務省は,加盟社に出資制限違反のあった日本民間放送連盟と日本コミュニティ放送協会,それに,日本新聞協会に対し,法令遵守を加盟各社へ周知徹底するように求める要請を行った。

放送事業者の株式に関しては,他の放送事業者や新聞社が第三者名義で実質的に保有し,出資制限を上回る事例が相次いで明らかになったことから,総務省は,放送事業者の第三者名義株の保有状況について,調査と事実関係のヒアリングなどを行っていた。その結果,他の放送事業者に出資し,制限を超えて株式を保有していたのが18社あり,また,他の放送事業者や新聞社などから出資を受け,制限を超えて保有されていたのが54社(うちコミュニティ放送事業者が5社)あった。1社が重複して該当しているため,計71社となる。

警告は行政指導で最も重いものであり,放送事業者みずからが制限を超えて他の放送事業者に出資した悪質なケースであるとして,今回初めて17社に対して行われた。特に複数の違反をしていた3社には総務大臣名で,他の14社には情報通信政策局長名による警告が行われた。総務省は,同様の事態が繰り返し生ずるような場合には,電波法第76条に基づく放送局の運用停止や免許取り消しなどの行政処分もあり得るとしている。

東郷 荘司