メディアフォーカス

インターネットの広告費 初めてラジオを上回る

広告業界最大手の電通が2005年2月17日に発表した「2004年 日本の広告費」によると,本格的なブロードバンド時代の到来を反映し,インターネットのウェブサイトに掲載される広告費がラジオを初めて追い抜いた。

インターネット広告費は統計をとり始めた1996年以来右肩上がりで増え続け,近年のブロードバンドの急速な普及を背景に前年の40%をしのぐ53.3%増の1,814億円となり,4年連続で減少したラジオ広告費(前年比99.3%,1,795億円)を逆転,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌のマスコミ4媒体の一角にまで増大した。ネットの一般化が進んで接触時間がテレビに次ぐ存在となったことから,テレビや新聞と連動したネット広告の出現など各種メディアを統合した広告展開が加速している。

総広告費は,前年比103.0%の5兆8,571億円と4年ぶりに増加に転じたが,構成比が3分の1を占めるテレビ広告費が前年比4.9%増(2003年は0.7%増)の2兆436億円と,アテネオリンピックなど,ビッグイベントの放送で好調だったことに加え,ネット広告費が大幅にアップしたことが寄与している。そして,2005年の予測に関して電通は,総広告費は前年比プラスになるが伸び率は1.4%と微増にとどまり,一方,ネット広告費は30%台の依然高い増加率が期待できるとしている。

なお,マスコミ4媒体のテレビとラジオ以外の広告費は,新聞が前年比100.6%の1兆559億円と4年ぶりにプラス,雑誌は同98.4%の3,970億円と4年連続の前割れで,出版不況が広告費にも影響している。

東郷 荘司