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放送事業者の株式保有制限 55社が違反

総務省は,テレビ局やラジオ局など全国の民間放送事業者521社への出資状況について調査した結果を2005年1月19日に発表した。それによると,「電波法」第7条第2項第4号に基づく総務省令「放送局の開設の根本的基準」第9条で規定する「マスメディア集中排除原則」に定められた出資制限の上限を超えた株式の実質的な保有があった放送事業者は調査対象の1割程度にあたる55社あり,省令に違反していた株主数は延べ67件,その6割は新聞社の41件で,とりわけテレビ局27社については,新聞社が23件と多数を占めた。

省令違反の内訳は,地上民放がテレビ(兼営を含む)27社とラジオ単営23社,コミュニティ放送が5社で,うち11社は既に違反を解消済み,他はすべて今後解消する予定としている。総務省は,省令に違反している放送事業者に対し早急に是正して再発防止の徹底を求める行政指導を行うとともに,出資状況の変化などを5年ごとの再免許時しかチェックできない審査体制も見直すことにしている。

マスメディア集中排除原則では,地上放送局への出資比率の上限が,同一の放送エリアで10%以下,重複しない他の放送エリアでは20%未満に制限されている。2004年11月,読売新聞社による第三者名義株保有が発覚し,その後,他の新聞社や放送局でも第三者名義により実質的に制限を上回る株式を保有する事例が相次いで明らかになったことから,総務省は,同原則が適用される全国の民間放送事業者に対し,第三者名義株の保有状況などを点検して報告するよう求めていた。

東郷 荘司