国内放送事情

「これからのテレビ」を巡る動向を整理する

~2013年5月-10月~

2013年6月の総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」取りまとめを受け、テレビに関連する業界では今、“次世代”をキーワードにオールジャパンの歩みが進んでいる。4K/8K、ハイブリッドキャストを推進する「次世代放送推進フォーラム」と「次世代スマートテレビ推進センター」が始動。9月には2020年の東京オリンピック開催が決定し、高画質・大画面・放送連動サービスの次世代テレビの需要を期待する声が高まっている。

一方、こうした動きとは別に、デジタル化・ネットワーク化による技術を生かしたVODやレコメンドサービスなど新たなテレビサービスの裾野も広がっている。これらの動きは、多様な事業者が、テレビを軸に、又はテレビを絡めた新たなビジネスモデルを構築していこうとする取り組みでもある。

テレビは長らく、適度なサイズで居間に収まり、放送局が作る番組を一画面に映し出すシンプルな家電であった。国の成長・国際戦略、事業者の新ビジネスモデルの模索が先行する中、今後どのようなテレビサービスが人々に選ばれていくのだろうか。

本稿は、通信放送融合時代のこれからのテレビのありようを継続的に研究するための作業の結果報告である。今回は、2013年5月から10月までの最新動向を整理、論考した。

メディア研究部 村上圭子