国内放送事情

インターネット配信時代のラジオ

~その歴史と広域化の流れ~

ラジオのインターネット配信が日本で始まったのは1990年代後半。黎明期から揺籃期を経て、今、成熟期へ入ろうとしている。ラジオのインターネット配信が進んだ背景としてはリスナーのラジオ離れが挙げられる。インターネット配信の黎明期は楽曲の権利処理や通信の活用で放送の枠を超えてしまうのではないかという懸念が放送関係者にあり、足かせとなっていた。それでも、各局の担当者はインターネット配信へ向けて動き出していた。例えば、J-WAVEはアメリカにサーバーを置いて、権利処理をクリアした上で配信した。また、ラジオNIKKEIは番組で楽曲を余り使わないことと系列がないことを活かして、競馬中継などで配信を実現化してきた。

一方、radikoやドコデモFM、NHKのらじる★らじるなど配信プラットフォームの整備も進んできた。また、放送対象地域を超えるエリアフリー化も進展した。エリアフリー化は地方局の番組が全国で聴取出来る機会を産み出し、一部の地方局が全国的に人気を集めるなど、その可能性が広がりつつある。しかし、新たなビジネスモデルは未だ確立できていない。東日本大震災ではラジオの重要性が見直された。インターネット配信の成熟期へ向けて各局の新たな取り組みが期待される。

メディア研究部 関谷道雄