国内放送事情

2013年 春の研究発表とシンポジウム

ソーシャルパワーがテレビを変える

市民による情報の発信・共有・拡散の動きは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下SNS)の普及などにより、今や社会や政治を動かす大きな原動力となりつつある。こうした力を、NHK放送文化研究所では“ソーシャルパワー”と名付け、これが「放送局→視聴者」という、これまで長らく一方向のコミュニケーションモデルを構築してきた放送局やテレビメディアそのもののあり方を大きく変えていく可能性があるのではないか、という問題意識のもと、シンポジウムを企画した。本稿はその採録である。

シンポジウムではまず、SNSを活用した取り組みに力を入れる日本テレビとNHKが、具体的な取り組み内容とその背景にある問題意識を提示した。次に、こうした放送局による取り組みも含め、視聴者がSNSを活用しながらどのようにテレビを見ているのか、その実態を世論調査、ネット調査、オンライングループインタビューの結果から報告した。こうした事例や報告をもとに、ネット事業者やSNSに詳しい研究者を交え、ソーシャルパワー時代に求められる放送局やテレビメディアの役割について、論点整理を行った。

メディア研究部 関谷道雄/村上圭子