国内放送事情

ソーシャル機能による番組との出会いの創出

~番組レビューSNSサイト“teleda”の実証実験から~

NHK(放送文化研究所と放送技術研究所)では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)機能と、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)機能を備えた実験的なサイト“teleda”を開発し、実験を重ねてきた。これまでの限定的な空間を拡張するため、twitterなどの外部SNSとの連携機能や、番組視聴と同時にチャットできるリアルタイム機能を加えた上で、新たに3回目の実証実験を行った。その結果、外部SNSとの連携では、若年層の増加とコミュニケーション活性化の可能性が示された一方で、それぞれ性質の違うSNSを連携させることの難しさや、teleda参加の際の住所・氏名登録への抵抗感がサービス連携の障壁になりうるなどの課題が見られた。また、リアルタイムチャット機能では、時間的な制約や番組視聴に専念したいとの声があった反面で、視聴の共有体験に対するニーズの存在や番組との出会いの場を創出する可能性が示された。外部SNSの利用者が増え続け、ソーシャル空間での出会いの重要性は増している。今後も外部環境の変化への対応と空間拡張による試行錯誤の継続が必要であり、今回見出された課題の更なる検証と、外部環境の変化に即した対応が、引き続き求められる。

メディア研究部 小川浩司
放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部 宮崎 勝 / 馬場秋継 / 大竹 剛