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国内放送事情

東日本大震災・安否情報システムの展開とその課題

~今後の議論に向けて~

東日本大震災の被災地では、発災から1週間をすぎても、肉親らの安否を求めて避難所を回る人たちの姿が後を絶たなかった。あまりに広範な被害地域、壊滅的被害を受けた交通・通信環境、そして、津波で地域の原型すら留めない被災状況、この中での情報の収集と共有は、困難を極めざるをえなかったのである。こうした状況の中、今回の震災では、安否情報伝達のために既存のシステムをはじめ様々な新たな取組みが行われた。これらの取組みはどのように行われ、これまで指摘されてきた安否情報システムの課題を克服することができたのか検証するのが目的である。

今回の震災は、肉親らの安否を求め、わずかな手がかりでも得たいという祈りにも近い思いが、被災地のみならず全国を駆け巡った災害であった。こうした中、安否情報の提供の取り組みは、多岐にわたり長期間続いた。そのため、今後安否情報システムについて考えるべきポイントをかなりクリアに整理することができると思われる。まず、阪神大震災以降なかなか進まなかった安否情報センター的機能の必要性についてである。今回は、安否情報プラットフォームがネット上に生まれた初めての災害であった。民間主導で行われた動きをどう総括するか、これは非常に重要なテーマであるといえよう。次に、通信関連のシステムの利用が飛躍的に伸びたことにより、既存メディアが、今後どのような役割を果たしていくべきか考えなくてはならないという現実を、まざまざと見せつけられたことがあげられる。長らく安否放送を行ってきたNHKにとっては大きなテーマである。最後に、情報へのニーズが最も高い被災地域ほど情報が届かない、という構造的ジレンマの前に無力であり続けるのか、という問いに対し、その向きあい方のささやかな解を得ることができたことがあげられる。しかし、今後こうした取組みを広げていけるかどうかは、常識にとらわれない勇気と決断を、平時においても確認しておけるかにかかってくるといえよう。

本稿では、安否情報システムの展開について、①初動期(発災から3日間)②模索期(3 /14~21)③集約期(3/16~1ヶ月)に分け、時系列で整理し、それを総括へとつなげていきたい。

計画管理部(計画) 村上圭子