ホーム > 調査・研究成果 > カテゴリーから探す > 国内放送事情 > 東日本大震災・放送事業者はインターネットをどう活用したか

国内放送事情

東日本大震災・放送事業者はインターネットをどう活用したか

~放送の同時配信を中心に~

東日本大震災の発生後、NHKや一部の民放がテレビやラジオの震災報道番組をインターネットで同時配信した。地上テレビ放送に関しては、今回並みの規模で同時配信が行われたのは初めてである。震災発生後、放送事業者がどのようにインターネットを活用したのか、同時配信を中心に整理するとともに、どのような課題があるのか考察を行った。

震災発生後、地上テレビ放送事業者がユーストリームやニコニコ生放送といった動画配信サービスを利用して、インターネットで震災報道番組を同時配信する取り組みが相次いだ。また、ラジオについても、地域限定でインターネット同時配信を行っている「radiko(ラジコ)」のサービスを一時的に全国に拡大するなど、さまざまな方法でインターネットの活用が図られた。

これは、停電などによってテレビを見られなかったり、ラジオを持っていなかったりする人々に対して、震災関連の情報を届けるための特別措置として行われたもので、災害情報の伝達で一定の役割を果たしたほか、国内の情報を海外に発信するという機能も担った。

ただ、今回の同時配信は事前に準備されていたものではなく、未曽有の災害を受けての緊急的な措置として行われたものだった。インターネットでの同時配信については、事業者ごとに放送エリアを定める現行の放送制度との整合性が問題になるが、そうした問題が十分に整理されているわけではない。通信・放送の融合が進む中、災害時にインターネットを活用することは、放送事業者にとっても必要不可欠になっているが、検討すべき問題は多く残されているのが現状である。

本稿では、災害時の情報伝達のあり方を考える基礎とするため、震災発生後、放送事業者がどのようにインターネットを活用したのか、事実関係を整理するとともに、どのような課題が残されているのか考察した。

メディア研究部(メディア動向) 村上聖一