国内放送事情

『あるある大事典Ⅱ』のねつ造問題関西テレビの信頼回復への取組みと課題

関西テレビの制作で、フジテレビ系列で放送されていた科学バラエティ番組『発掘!あるある大事典Ⅱ』で2007年1月、外国の研究者のコメントがボイスオーバーで内容が作り変えられ、実験結果がねつ造されていたことが発覚した。

政府が番組内容のねつ造に関する新たな処分を盛り込んだ放送法改正案を国会に提出し、関西テレビが民放連から除名されるなど放送界を揺るがす問題が起きてから4年が経過した。外部プロダクションに制作を委託した番組で、内容チェックが疎かにされていたことが原因であった。
事件を起こした関西テレビは、放送界では初めてという外部有識者委員会のチェックを受けながら再発防止策を立て、この4年間信頼回復に向けての取組みを継続してきた。正確性を重視した科学番組の制作の継続や、コンプライアンスの徹底、下請けプロダクションとの関係改善、メディアリテラシーなど視聴者との回路の充実、などである。
関西テレビの取組みは一定の成果を上げているが、放送界全体で見れば、誤報や「やらせ」など不祥事は跡を絶たない。
『あるあるⅡ』問題を契機に設置された放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会でも審理事案が相次いでいる。
番組不祥事をなくすためには、番組の委託制作に関わる諸条件の改善、経営と現場にある高視聴率への必要以上のこだわりをなくすことが必要だが、難しい問題であり、まだまだ改善途上である。
事件の経過と関西テレビの取組みをたどりながら、放送への信頼を回復するための課題を探る。

メディア研究部(メディア動向) 奥田 良胤