国内放送事情

準基幹メディアへの道

~2008年1月「日本人とメディア」世論調査から②~

BSデジタル(以後、Bデジと記述)は今夏に4000万を突破する勢いで、民放キー局系5局の収支も07年度に初めて全局が黒字を見込むまでに改善した。視聴状況では、視聴頻度など量的側面でも、満足度など質的側面でも、急速に「準基幹放送」としての重みを増している。未視聴者の意向では、地デジの場合と遜色なく、アナログ終了に向けて大いに普及することが予測される。Bデジ視聴世帯数についての業界予測は、3~3.5千万となった。広告主が積極的に評価をしており、今後好循環が生まれる可能性を示唆している。またメディアとしての存在感では、現状でも一定程度の視聴実績を持ち始めており、今後は番組制作に投入する予算が増え、地デジの側が無視できない規模の影響を及ぼし始める可能性もある。

一般に2011年はアナログ終了のゴールと目されているが、Bデジの存在感が増すことを基点に今後を展望すると、実は2011年は放送界再編の始まりとなるかも知れない。業界ではまだ誰も明示的にそれを指摘する人はいないが、各種データとヒアリングの数々からは、こうした2010年代の姿が垣間見える。 2011年以降の完全デジタル時代に、Bデジが「準基幹放送」としてどんなメディアになろうとしているのかを展望した。

メディア研究部(メディア動向) 鈴木祐司