国内放送事情

VOD普及のキーコンテンツは何か

~相関係数と共分散構造分析によるアプローチ~

放送と通信の融合にともない、ブロードバンドやインターネットを通じた放送事業者のコンテンツ提供が盛んになると考えられる。とくにVODを使ったコンテンツ提供は、放送事業者にとっても視聴者との接触の拡大が図れることから、戦略上も重要なテーマとなりつつある。そこで、今回は番組とVODの関係に焦点を絞って事業の方向性を考えることにした。

各番組の視聴意向とVODの利用意向の関係の強さをみるため相関係数をとってみたところ、全体では「NHKスペシャル」「その時歴史が動いた」「プロフェッショナル仕事の流儀」「探検ロマン世界遺産」などが高かった。性・年層別に相関係数を分析すると、男20代、男50歳以上、女30代、女50歳以上の4つの層の人たちは、配信される番組によってVODサービスを利用するかどうかを判断する傾向が高いことが分かった。

VODの利用意向がどのような要因で高まるのかをさぐるため、共分散構造分析という手法を使って因果関係モデルを作成したところ、「番組の好み」が高くてもそれですぐに「VOD利用の可能性」が高まるわけではないが、「NHK放送への接触」を喚起する可能性は高く、トータルとしては「VOD利用の可能性」を高めることがわかった。また、インターネットによる有料動画の利用経験がVOD利用の可能性に影響力を持つことも分かった。サービス開始以降できるだけ早く一度使ってもらう方策を考えることが、VODの利用普及の早急な拡大をめざす上でポイントになると思える。

研究主幹 三浦基/主任研究員 小林憲一