国内放送事情

“読み・書き・ネット”は常識か?

~番組議論と調査から見る利用実態と今後の展望~

動向

インターネットを利用する人の割合は、近年急速に増えている。文研の調査によれば、「平日にネットをしている人」は、01年に28%だったが06年には 45%と17ポイント増加した。もし過去5年と同じペースで今後5年も増加すると仮定すると、2011年には6割強の人が利用する計算になる。しかし現状では、年齢や地域の壁が存在している。年齢別に見ると、20代のネット利用者は95%、40代91%に対して、70代は19%、80代に至っては7%に減っている。地域別の利用率でも、政令指定としと町村部では11ポイントの差がある。格差は歴然と存在しているのである。

NHKでは、ラジオ特番『今ネット社会で何が起きているのか?~①読み書きネットは常識か?~』を放送した。大半の人が利用する時代に「使わない人」「使えない人」はどうしたら良いのか等、専門家を交えて議論した。また番組では、ネット非利用者50人を対象に熟慮型世論調査の試行を行った。「ネットは社会を良くすると思うか」「あなたは今後ネットを利用したいか」等を放送の前後で質問し、回答に変化は生ずるか、なぜ変化したのか、変化しなかったのかを聞いたのである。なお2つの質問については、前質問の肯定派は少し増え、後質問の肯定派は少し減少している。

「放送研究と調査」8月号に掲載される本稿では、番組の中で行った議論を整理すると共に、番組前後で行った調査や、番組のリスナーが番組掲示板に書き込んだ意見などを分析し、放送が受け手に与える影響や可能性について考察している。

主任研究員 鈴木 祐司/村上 圭子(ラジオセンター)