国内放送事情

視聴者はVODに何を求めているのか

~「インターネットを利用したVOD」に関する調査から~

インターネットの発展とともに、ネット経由での動画サービスに対する需要が高まっている。今回、われわれはインターネットで動画サービスを利用した経験のある人々1000人を対象に、NHKの放送番組についての利用意向調査を行った。

NHKの放送番組をインターネットで有料配信するサービスについての利用意向調査では全体の19%が利用する意向を示したが、民放よりNHKの番組を多く見ているグループでは意向率は38%に達した。また、現在放送している番組について、どの分野の番組について期待するか尋ねたところ、多い順にニュースが 37%、ドキュメンタリー29%、歴史、映画、天気予報がそれぞれ25%であった。次に「見逃してしまった番組」をネット経由で見られるサービスが出来たらという仮定で、見たい具体的な番組名を尋ねたところ「NHKスペシャル」29%、「その時歴史が動いた」27%「探検ロマン世界遺産」22%となった。これらの番組はいつも番組を録画するグループ、新サービスに期待するグループのいずれでも上位を占めている。またネットで見るとすれば放送後、どれくらいのタイミングで見るのかという問いについては66%が放送直後から一週間以内と答えており、利用期限の目安として一週間という期間が想定できると思われる。

過去にNHKが放送した番組についてもネットでの利用意向を尋ねたところ、歴史番組、掘り出し映像、ニュース、スポーツ、大河ドラマ、美術番組などに対する利用意向が高いことがわかった。またこの回答を詳細に検討すると女性の50代以上で趣味実用番組、健康や介護に関する番組についての利用意向が突出して高いことがわかった。

ネットを通じての放送番組の利用については、特定の分野について高い利用意向が出現していることがわかったこともあり、今後のサービスの実現においては、きめの細かいターゲット設定が重要であることがわかった。

研究主幹 三浦基/主任研究員 小林憲一