国内放送事情

NHK“約束”評価の方法と考え方

NHKは平成17年から視聴者に対する“約束”を公表し、その評価を第三者機関であるNHK“約束”評価委員会に委ねました。第1回分の“約束” 評価報告書は去年(平成18年)の6月21日に発表されていますが、そこで用いられた方法と考え方について、同委員会の辻正次委員長に執筆していただきました。なお、平成18年7月25日には、平成18年度の“約束”が公表されています。

1996年にBBCが初めて視聴者に対する“約束”を公表して以来、アイルランドやドイツなどの公共放送がその事業理念や期間目標などについての“約束” を公表するようになっています。NHKもおととし、平成17年から視聴者に対する“約束”を示し、その達成状況を第三者機関である“約束”評価委員会が評価するようになりました。

すでにそれぞれの国で公共放送の約束とその評価が行われていますが、まだその方法論が確立されているわけではありません。その中でNHKの“約束”評価委員会のアプローチは、科学的・客観的な評価を目指してCVM(Contingent Valuation Method:仮想市場価値法)によって放送サービスの価値を金銭的価値に換算することを試みる方法などを打ち出した点で世界的にもユニークなものです。

そこで“約束”評価委員会が用いた評価の方法は具体的にどういうものなのか、また、そこにはどのような考え方が反映されているのか、各方面からの検討が可能になるように、明らかにしておく必要があると考えました。

この稿で辻正次委員長は、NHKの“約束”がどの程度果されたかという評価を、「単なる外部評価に終わらせずに、公共放送を取り巻く環境変化などを基礎におき、広い視野から検討を加えると同時に、出来るだけ新しい分析手法に基づいて評価作業を行った」と述べ、委員会の“約束”評価の方法と考え方について説明しています。

「NHK“約束”評価委員会」委員長 兵庫県立大学教授 辻 正次