国内放送事情

連続インタビュー 動くか、日本の映像コンテンツ⑤

プリクラ感覚の市民参加放送

ケーブルテレビ富山 番組制作部 部長 岩口忠司氏  係長 岩井悟氏

「パブリック・アクセス」という言葉がある。一般市民が一定の規則に基づき自主的に放送番組を企画・制作することをいう。メディアに多様な意見を反映させ、民主主義の健全な発展に資するための活動だが、残念ながら日本ではまだあまり定着していない。

そんな中、ユニークな取組みが始まった。ケーブルテレビ富山が始めた「e―まちBOX」である。カメラに向かって話しかける人々が何人も登場する番組で、キャッチフレーズは“プリクラ感覚のビデオレター”。出演からBGMの選曲、さらに画面装飾の全てを一般市民が自ら担当するもので、家族、知人、一般市民へのメッセージが放送されている。

地上デジタルやインターネットの時代に地域情報重視で対応しようというケーブルテレビとしての生き残り策が元々あった。地域活性化に寄与したいという思いもあった。さらに「パブリック・アクセスを地方の現実に即して実現させたい」という志もあった。

開始して1年、徐々に参加者も増えている。しかし現実には、コストや人手の問題があり、地域情報を地域内外に流通させる限界も見えてきた。ユニークな試みを紹介することで、地域コンテンツ流通の可能性を考える。

主任研究員 鈴木 祐司