国内放送事情

連続インタビュー 動くか、日本の映像コンテンツ④

ネットでも強い!アニメのチカラ

(株)バンダイチャンネル社長 松本悟氏

インターネット上のアニメ専門の有料VOD配信サイト「バンダイチャンネル」。2002年10月のスタート時は月間わずか10万話だった視聴が、 3年半後の今年4月には月間150万話に伸び、累計では2000万話になるなど急成長しているが、社長の松本悟氏は「スタート時から、成功を確信していた」という。その理由は、当時ネットユーザーは全人口の1割に過ぎなかったが、そのほとんどがアニメの熱心なファンで、「彼らはテレビや映画で見たことのあるアニメでも、すでにDVDを持っているアニメであったとしても、必ずネット上のVODでも有料視聴する。」と予測していたからだという。

元々オモチャの製造・販売の老舗であるバンダイでは、1980年代からテレビ局や出版社とともに製作委員会を作り、テレビ番組や映画の制作に関わってきたが、中心メディアはあくまでもテレビであり、放送されたアニメのDVDを売り、キャラクターグッズやオモチャを売ることが主戦略だった。だがバンダイチャンネルでは、新作「機動戦士ガンダムSEED」をテレビ放送の直後からネット配信したり、テレビでは放送されない高品質なネット・オリジナルのアニメ作品も手がけるなど次々と新機軸を導入、テレビを補完する新たなメディアへと成長してきた。

バンダイチャンネルの年間売上高は推計20億円、バンダイナムコグループ全体の売上げ(約4700億円)の中での割合は低いが、テレビや映画の視聴を促進し、さらにDVDの売上げを向上させるなど、コンテンツ事業全体への貢献度は高い。すでに始めた韓国に続いて中国、アメリカなどでの配信も視野に入れながら意欲的な挑戦を続ける松本社長に、その戦略を聞いた。

主任研究員 七沢潔