国内放送事情

連続インタビュー 動くか,日本の映像コンテンツ②

テレビでもネットでもない/パソコンテレビGya0の挑戦

USEN・取締役コンテンツ事業本部長 高垣佳典氏

株式会社USENの無料ブロードバンド放送Gya0はスタートから1年で視聴登録者数が860万を超え、サイトアクセス数も民放キー局のホームページに並ぶ月間2億pvを数えるなど急成長を続けている。

Gya0のコンテンツ編成の責任者・高垣佳典氏は、「Gya0は個人登録されたデータを使うことで利用者の属性に応じてCMやコンテンツを配信できる新しいメディア」という。また、その編成の特徴は、無限の時間とチャンネル数というネット特有の空間であえて期間を限定して視聴者を追い込む「横の編成」や、利用者のアクセスが記録されたログの分析で得られる番組ごとの細かい視聴データを読み解くことでコンテンツや編成の弱点補強が柔軟にできることにある-- という。

またGya0は制作陣にテレビ局から人材を呼び込み、大手プロダクションに委託して多数のオリジナル番組を制作している。そのコンセプトは「テレビみたいだが、テレビができないもの」。将来地上波テレビの東京ローカル局並みのマスメディアをめざすGya0は一般のインターネットの「エロ、グロなんでもあり」とは一線を画し、倫理規定やCM考査も設けて放送並みのモラルを維持するという。その一方でセックスに関する教養番組やマニアックな車やファッション情報などテレビの隙間にある需要を果敢に掘り起こし続ける---高垣氏は近い将来Gya0がブランドとなる日を夢見ている。

主任研究員 七沢 潔