国内放送事情

アナログ停波への道

地上デジタル推進全国会議は去年12月に、「デジタル放送推進のための行動計画(第6次)」を発表した。これにより全国4800万世帯の90%以上をカバーする各地の親局や中継局のデジタル化スケジュールが明らかになった。しかし今回の発表では、依然数%の世帯について、いつ、どのように地デジの電波が届くようになるのか、明確になっていない。

そもそも去年7月に総務省情報通信審議会が「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」についての第2次中間答申を発表して以降、IPマルチキャストやCSデジタルを使った地デジの再送信、共聴施設のデジタル化、地方公共団体における既存通信インフラの活用などが検討対象となり、一部で実験が始まっている。また従来から補完メディアの役割を担ってきたケーブルテレビも、地上波のデジタル化に積極的に対応してきている。

しかしこれらの補完措置を、2010年までのデジタル化移行完成という視点でみてみると、いずれの方法も一長一短があり、現状ではどれも切り札とはなっていない。容易に地デジ電波を届けられない地域全てをカバーするには、どの方法も依然課題が残ってしまうからである。こうした地域については、技術的課題やコストの問題に加え、今年4月から始まるワンセグ・サービスも考慮しなければならない。いずれにしても、テレビは日常正確に欠かせない存在となっているだけに、それぞれの地域の条件に応じて最善の道を模索する必要があるだろう。

主任研究員 鈴木祐司