国内放送事情

連続インタビュー「情報社会のゆくえ」③

ネットはテレビをさらに「おいしく」する

ソフトバンク・ブロードメディア株式会社 代表取締役 橋本太郎氏

いまや日本屈指の総合通信企業となったソフトバンク社は1996年テレビ朝日の買収に動き、その後CS放送局JskyBを設立、2003年には ADSLを使ったブロードバンド接続サービスYahoo!BBの爆発的普及を背景に、IP(インターネットプロトコール)によるテレビ「放送」サービス BBTVをスタートした。ライブドアに先立つこと10年前から放送と通信の「融合」というテーマを追いつづけてきたこの企業グループの中心人物は、ブロードメディア代表取締役・橋本太郎氏である。

橋本氏は日本のテレビはまだ十分にインターネットの効用を生かしきっていないという。2年前「電気通信役務利用放送法」で世界に先駆けてIPを使った「放送」に道が開けたにも関わらず、著作権法の解釈によりそれが放送と認められないため地上波テレビの再送信ができず、BBTVなどIP「放送」の普及は滞っているという。だが、橋本氏は今日最強のコンテンツ「地上波テレビ」は、インターネットのもつ補完的な機能を活用すれば、さらに輝く未来が待っているという。そのためにデジタル放送の伝送路の一部をIPに託し、売り物の双方向機能の一翼を技術革新が著しい通信業者に委ねることなどを提案する。またNHKを筆頭にすでに始まっている放送番組のインターネットでの配信をさらに深化拡大させて、デジタル化をすすめる放送事業者の体力を増強すべきだという。

通信業界きっての放送事業通の橋本氏に、デジタル時代のテレビとネットの関係を聞く。

主任研究員 七沢 潔