国内放送事情

新連載・連続インタビュー「情報社会のゆくえ」①

「ホリエモン」はIT社会の花ではない

(株)インテック会長・中尾哲雄氏

ブロードバンドの爆発的普及を背景にネット企業がテレビ局の買収に動くなど、奔流の如き勢いで変貌する情報社会のゆくえを、現場のプレイヤーたちへのインタビューを通じて展望する新連載。

第1回は日本の情報産業の草分けで、富山市に本拠をおくインテック社の中尾哲雄会長。中尾氏は40年前の創業時、まさか今日のようにパソコンが個人の間に普及するとは想像しなかったという。中尾氏たちが進めた銀行や企業、病院、役所のオンライン化という地道な情報社会インフラ整備と、国が独占していた通信事業の民間への開放を基礎にして今日のブロードバンド時代が到来したが、大衆社会に入り込み生活スタイルにまで影響を及ぼすIT化には新型犯罪の多発など負の側面も多く存在する、と中尾氏は警鐘を鳴らす。

その上で、巨利を稼ぎ世間の耳目を集めるいまのネット企業はいまだ幼年期が終わったばかりのIT革命の過渡期の徒花にすぎず、この先は日本が主導する新たなシステムIPv6への移行などのさらなる技術革新で、地球環境問題や福祉問題など人類の抱える難問が解決され、社会の幸福が実現する「花の未来」が到来すると予測する。

放送研究 主任研究員 七沢 潔