番組研究

現代のアニメを特徴づける「日常性」と「時代の影響」

~アニメ番組の内容分析研究から~

現在放送されているアニメ番組の現状を把握するため、1986年から5年に1度、継続して実施している「アニメの内容分析」の2011年度最新の結果を紹介し、過去5回の結果と比較することで、アニメ番組の内容の変化の有無について検証します。

本研究は、現在放送されているアニメ番組の現状を把握するため、2011年6月の「NHK全国個人視聴率調査」の調査期間に放送されたNHK、民放のアニメ番組42本について収録し、舞台となる時代や場所、主人公のキャラクター、ストーリーの基調、メインテーマなどから、設定した30の構成要素が、そのアニメ番組に含まれるのかどうかを判断(コーディング)するものです。

今回、構成要素別にみたアニメ番組の舞台では、「時代不明」と「架空の場」の組み合わせと「現代」の「都市・町」に大きく分かれており、主人公のキャラクターでは、「闘争」「ひょうきん」「明朗」の組み合わせが多いことが分かりました。また、メインテーマでは、「友情と戦い」「ドタバタした動き」「ほのぼのとした笑い」の順に多い結果となりました。

これらのことから、現代のアニメ番組には、大きく2つの系統があることが分かりました。1つは、子どもの生活感覚に近い、現代の日本、都市・町などの日常的な設定の中で明るくひょうきんな主人公を中心に、ほのぼの基調で物語が展開するもの。もう1つは、架空の時代や場所で、闘争、ひょうきんなどの要素をもった主人公が、戦いや冒険を展開するものです。後者のアニメは、内容・テーマが多岐にわたっており、時代の影響を強く受けていました。

さらに、構成要素ごとの平均視聴率を比較したところ、「日常的なアニメ」は夕方18時、19時台に編成されることが多いこともあり、幅広い年層の視聴者に見られていること、「時代の影響を受けたアニメ」は土日の朝6時から9時台の時間帯に子どもたちに単独で見られているものが多いことが分かりました。構成要素の違いによって編成時間帯や視聴者層に固有の特徴が認められるということは、現代のアニメ番組を理解する上で重要であると考えられます。

宇都宮放送局(放送部) 鶴島瑞穂