番組研究

チャンネル変更の行動と意識

~モニター調査からの報告~

視聴者はなぜチャンネルをかえるのか。番組の途中でチャンネルをかえてしまうという視聴者の行動は「見ているお客さんを逃がす」ことを意味するので、番組改善を目指す立場からは見逃すことのできない問題である。とくに番組視聴率を改善するためには視聴者の「視聴分数」を増やすことが重要である。その場合に、そもそも視聴者がどのようにチャンネル変更を行っているのか、その実態や原因は何なのか、ということを知っておくことが基礎的な作業として必要になってくる。そこで、調査対象者に自分の視聴したテレビ画面を録画してもらい、それを見ながらチャンネル変更の具体ケースについて聞くという調査を実施した。

20代から50代の男女181人のモニターに、昨年9月7日(水)の20時半から23時までの150分間、見ているテレビの画面をビデオカメラで撮影してもらい、その記録を集計した。その結果、150分の間に行ったチャンネル変更は、平均で3.5回。全体の15%の人は一度もチャンネルをかえず、14%の人は1度しかかえなかった。一方、変更数が6回以上のよくかえる人が22%いた。全チャンネル変更の5割超をこの2割ほどの人が行っているという計算になる。チャンネルをかえる時間帯については、番組の切れ目が多い正時の10分前から5分後までの15分間に全変更数のおよそ半数が集中している。多くの人は番組が終り次の番組に変わる時にチャンネルを移動している。これはごく常識的な結論といえるが、反面では番組の途中でチャンネルをかえるのは一部の人による限定的なものであることを確認する必要があるだろう。一度チャンネルを選んでから次にチャンネルをかえるまでの時間を計算すると、平均でおよそ30分であった。

チャンネル変更の理由を聞いた結果、最も多かったのは「番組が終了したから」というもので24%になった。意識の上でも番組を最後まで見終わってからのチャンネル変更が多かった。一方、番組終了以外の放送内容に関わるチャンネル変更理由は、見ている番組の内容が「面白くなかったから」とするものは12%と少なく、「他の番組が見たかったから」「他のチャンネルで何をやっているか気になったから」がともに21%で、他局を気にするものが多かった。

メディア研究部(番組研究) 齋藤建作