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番組研究

東日本大震災・被災者はメディアをどのように利用したのか

~ネットユーザーに対するオンライングループインタビュー調査から~

ライフラインが断絶し、度重なる余震に対する恐怖・不安の中で、被災者はテレビやラジオなどの既存メディアだけでなく、ツイッターやミクシィなどのソーシャルメディアも活用して震災情報を取得した。被災地ネットユーザーのメディア利用実態や利用意識、災害時のテレビのあり方について、オンライングループインタビュー調査によって具体的に探った。

今回の調査は、甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島、青森、茨城県に在住する20~40代のネットユーザーを対象とした。ネット上の掲示板で、震災発生から1ヶ月程度のメディア利用について時系列に沿って意見を聞いた。①ソーシャルメディア利用者(岩手、宮城、青森、茨城のいずれかの県に在住)、②ソーシャルメディア非利用者(在住県は①と同じ)③福島県在住・ソーシャルメディア利用者の3グループを設定した。

被災地でまず必要とされた情報は、個別具体的かつ局地的なローカル情報(居住地近辺の被害状況、個人の安否、避難所の場所、ライフラインの復旧予定、食料・水・ガソリンの入手方法、店舗の開店状況など)であった。NHKや在京キー局が提供した被災地全体の状況や原発関連情報などはマクロな情報であり、ユーザーの緊急な情報ニーズを十分には満たしていなかった。そのギャップを埋めたのが地元の民放ラジオやソーシャルメディアであった。

ソーシャルメディア利用者(グループ①・③)は、より詳細な地域情報をピンポイントに得るだけでなく、他者との「共感」「癒し」「つながり感」なども享受していた。ソーシャルメディア非利用者(グループ②)は、利用者に比べてネットを使いこなせておらず、必要な情報を効率的に探せないことにいら立ちを感じている様子がうかがえた。福島在住者グループの③は、ライフラインが復旧し始めた後も、①・②と異なり、原発問題に非常に敏感な状況が続き、精神的な負担を強いられていた。

今回の震災では、ネット利用者と非利用者、さらにソーシャルメディアなどの新しい情報ツールを使いこなせる人と使いこなせない人との間で情報格差が生じていた。テレビには、各メディアの強みを活かしながら効果的に連携を進め、正確で信頼性の高い情報を迅速に提供し、情報格差を是正していく役割が期待されている。

 

世論調査部(視聴者調査) 執行文子