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番組研究

東日本大震災・ネットユーザーはソーシャルメディアをどのように利用したのか

東日本大震災では、テレビや新聞などのマスメディアだけでなく、ツイッター、ミクシィ、フェイスブックなどのソーシャルメディアが震災情報の取得に活用された。ネットユーザーの利用実態・利用意識、テレビとソーシャルメディアの捉え方や重要度の変化などについて、オンライングループインタビュー調査によって具体的に把握した。

今回の調査は、重篤な被害を受けた被災者ではなく、震源地から離れた地域(関東・甲信越など)の20~40代のネットユーザーを対象とした。ネット上の掲示板で、震災発生から1週間程度のメディア利用について意見を聞いた。①ツイッターヘビーユーザー(震災前から利用/閲覧・投稿を行う)、②ツイッターライトユーザー(震災後に利用開始/閲覧のみ)、③原発が心配な母(原発事故問題に高い関心/小学生以下の子供がいる)、④デジタルネイティブ(複数のソーシャルメディアのヘビーユーザー)の4グループを設定した。

ユーザーはテレビを補完するツールとしてソーシャルメディアを活用していた。家族・友人の安否確認など“パーソナルな情報”、交通情報や輪番停電など“ローカルな情報”、原発に関する“専門的な情報”などを得ていた。ユーザーは、ソーシャルメディアによって、リアルタイムに大量かつ多様な情報にふれる、公式アカウントから信頼性の高い情報を得る、ユーザー同士の共感・癒し・感情のやりとりによって精神的支えを得る、といった効用を享受していた。

ソーシャルメディアのヘビーユーザーは、テレビとソーシャルメディアそれぞれの特性をうまく活かしながら、情報リテラシーを発揮し、自分自身で情報を取捨選択して判断していきたいという意識が強く、「受動的な情報収集」から「能動的な情報収集」へとパラダイムシフトが起こっていた。

災害時のツールとしての有用性を示したソーシャルメディアであるが、デマが瞬時に拡散して混乱を生むなど、発展途上の未熟なメディアならではの脆弱性も明らかになった。テレビに求められる役割は、発信した情報がソーシャルメディアを通じて広く伝播する可能性があることをふまえた上で、正確で信頼性の高い情報を迅速に提供していくことである。

 

メディア研究部(番組研究) 執行文子