番組研究

視聴者は朝どのようにテレビを見ているのか その2

視聴者が朝家庭でどのようにテレビを見ているのかを、デプスインタビューの手法で調べた本年1月号の報告の続編として、ビデオリサーチ社が調べている関東地方の毎分世帯視聴率と、インタビュー調査で使用した調査対象者の視聴録画記録とを詳細に集計し、朝のテレビ視聴について数量的な視点から概観した。

毎分世帯視聴率の分析からは以下のような点を報告した。

  • ① 朝家庭でテレビを見る習慣を持たない世帯はせいぜい1割内外に留まり、たいていの家庭が、しかも長時間にわたって、テレビを視聴している。
  • ② その一方で、それらの視聴世帯は時間帯ごとにかなり入れ替わっている。
  • ③ チャンネル移動という点では、朝は思いのほか動きの少ない視聴行動が行なわれている。半数を超える世帯が朝4時間の間にせいぜい1度しかチャンネルを移動しない。一方、2割近い家庭は5回以上チャンネル移動しており、2極化の傾向がみられる。

調査対象者の視聴録画記録については、

  • ① 毎分視聴率では記録されない1分未満のチャンネル移動(いわゆるザッピング)の実態や背景(チャンネル移動回数の分布と時間推移・チャンネル移動の理由・チャンネル移動のタイプ分け)
  • ② チャンネル移動の際に、視聴者がもつテレビ欄に関する知識(「マインドテーブル」)がいかに働いているのか
  • ③ マインドテーブルの形成に対して、過去の視聴履歴(視聴史)や日々の視聴経験の積み重ねがどのように影響しているのか

などについて、インタビュー発言を織り交ぜながら報告した。

メディア研究部(番組研究) 齋藤建作