番組研究

デジタルメディア・利用の深まりと広がりの可能性

~2008年1月「日本人とメディア」世論調査結果から③~

「日本人とメディア」総合調査研究プロジェクトでは、さまざまなデジタルメディア(デジタルAV機器やデジタル放送サービス)の導入によって、日本人のメディア利用がどのように変わるのかを探究している。

本稿では、2008年1月に実施した全国調査の結果から、専門チャンネル・DVR(デジタルビデオレコーダー)・インターネット・携帯電話などの普及・利用の進展の様子とともに、2007年から2008年における利用構造の変化を総合的に分析する。

  1. 専門チャンネル・DVR・インターネット・携帯電話の導入・利用状況

    この4種については、2007年に比べて量的な進展はほとんどみられない。 ただし、すでに導入・利用を行っている層については、携帯電話では利用頻度が増加したり、インターネットの利用回線では、ADSLの利用が減少し光ファイバー回線の利用が増加するなど、利用の深まりや利用機器の向上がみられる。

  2. 2007年から2008年における利用の変化

    地上デジタル放送・専門チャンネル・DVR・パソコンインターネット・VOD(ビデオオンデマンド)・携帯電話インターネットの6種類のデジタルメディアがどのような組み合わせで利用されているのか、「6種類すべてを利用しているグループ」から「いずれも利用していないグループ」まで8つのグループに分けて比較したところ、2007年と2008年の間に構造的な変化はほとんどみられなかった。

    ただし、50代以上の層に着目すると、地上デジタル放送の導入・利用の割合が増加しており、デジタル化に消極的な高年層においても動きがみられた。一方、「いずれも利用していないグループ」は相変わらず3割程度を占め、若年層にも一定数存在する状況が継続していた。

    全体として、デジタルメディアの利用者の中ではより便利な機器やサービスに移行する動きがあるものの、利用の裾野は広がっておらず、非利用者は利用しないままの状況にとどまっている。利用者と非利用者の「隔たり」は広がりつつあるようだ。

メディア研究部(番組研究)渡辺誓司/西村規子