番組研究

<インタビュー企画> 地域発・人気番組はこうして育てる

第2回 「ヒットの秘訣は企画と視聴者を信じること」

~ 中部日本放送 伊藤 司氏~

ここ数年、地域放送番組への視聴者の注目度が年々高まってきている。制作局の放送エリアだけで視聴されてきた地域放送番組は、今やインターネット等の様々なメディアの登場により、東京キー局の番組には飽き足らない全国の視聴者の目にもとまるようになった。そうした目の肥えた視聴者の心を捉えたのが、地方局が生き残りをかけて育成に取り組んできた自主制作番組である。一地方局が制作した番組が様々なメディアを通して、放送エリアを越えて視聴され、莫大な予算をかけたキー局の番組を人気と視聴率で追い抜くという逆転現象が各地で起きている。本インタビュー企画では、各地の人気番組のキーマンに話を聞くことで、今後の地域放送番組の可能性を考える上での道標とすると同時に、大きく変わろうとしている地域放送に何が起きているのかを探る。

第二回目は、中部日本放送・制作部部長の伊藤司氏。1998年に伊藤氏らによって企画された番組「スジナシ」は、笑福亭鶴瓶と出演者の二人が、打ち合わせナシ、台本ナシという状況の中で寸劇を演じるという前代未聞の即興ドラマ。名古屋愛知ローカルにも関わらず、番組ゲストには、大竹しのぶ、妻夫木聡、広末涼子、宮藤官九郎など、錚々たる顔ぶれが並ぶ。何が起こるかまったく予想がつかない番組展開が視聴者から支持され、東海地方はもとより、全国的にも注目される番組へと成長した。伊藤氏は「スジナシ」以外にも、天気予報を1時間の情報番組化することで話題を呼んだ「そらナビ」、ゴールデンタイムのローカル情報番組の先駆けである「特捜!坂東リサーチ」など、常に斬新な企画に挑戦することで知られている。インタビューでは、伊藤氏の番組へのスタンスを通して、 “過去ににない、独創的な番組”を生み出すための手法や、制作環境作りになどについてお聞きした。

専任研究員 菅中雄一郎