番組研究

超高齢社会・介護家族はテレビに何を求めているか

~介護番組ニーズ調査の結果から~

NHKでは1980年代から、家族を介護している人たちを応援し、具体的な介護の知識や技術を紹介する「介護番組」を教育テレビで放送しています。今回放送文化研究所では、現在放送中の番組が「介護している当事者」にどのように受け取られているのか、介護している家族はどのような内容を望んでいるのかを探る調査を行いました。番組コーナーのVTRを視聴してもらって感想と評価を聞くとともに、介護生活の悩みやテレビへの要望などをうかがいました。

調査に協力しインタビューに応じて下さったのは介護中あるいは介護経験のある113人の方々です。平均の介護歴は7.5年。最長の人の介護歴は28年に及んでいました。

調査の結果を介護歴の長さで4段階に分けて分析した結果、介護歴の長さによって求める情報の内容が違うことや、介護する相手によって「悩みを相談する相手」も違うこと、40代半ばを境に日常的に使っているメディアや視聴するテレビ番組にも違いがあることが浮かび上がりました。 また、84%の人が「介護に悩みがある」と答えています。高齢者が高齢者を介護するいわゆる老老介護やその長期化で、介護を担う人の負担感や孤独が大きな課題であることが改めてわかりました。

本稿では、こうした調査から浮かんだ番組へのニーズを整理し、それに応えるため視聴者層を細かく想定することや、具体的に介護家族に役立つための情報の出し方や内容などについて考察を試みたものです。

放送研究 主任研究員 坂井 律子