「お返事」? 「ご返事」?
2011.12.01
「お返事」と「ご返事」とでは、どちらを使ったらよいのでしょうか。
どちらも正しい言い方ですが、最近では「お返事」と言う人が多くなりつつあります。
解説
「お」と「ご」のどちらが付くかは、だいたい次のような傾向があります。
○やまとことば(和語)…「お」が付く。お金、お米、お餅など。
○漢字の音読みのことば(漢語)…「ご」が付くものが多い。ご親切、ご出演など。
○外来語…ふつう「お」も「ご」も付かない。
ただし漢語の場合には例外が多く、「お食事・お料理・お洗濯」など、「お」が付くものもかなりあります。漢語には少し堅苦しいことばが多いのですが、例外的に「お~」となっているものの多くは、漢語であっても私たちの生活に密着したものがほとんどです。
「返事」もその例外の一つです。これは、「かえりごと」というやまとことばに「返事」という漢字をあてて、そのあとに「へんじ」という音読みの漢語が出てきたものです。つまり、もともと「あまり漢語らしくない」ことばなのです(なお「大根(だいこん)」も「おおね」から生まれたことばです)。そのため、やまとことばとしてとらえた場合の「お返事」と、漢語として扱われたときの「ご返事」が、両方とも使われているのです。
ウェブ上でおこなったアンケートでは、「お返事と言う(ご返事とは言わない)」という回答(全体で63%)が、若い人になるほど多くなっていることがわかりました。また、特に女性はこの答えを選ぶ傾向が強く見られました(男性56%、女性68%)。
漢語のなかでなじんできたことばは、「ご~」から「お~」へと変化してゆくと言えそうです。最近では「お迷惑」「お連絡」というものも目にしますが、これはまだちょっと受け入れられにくいような気がします。
どうでしょう、お理解いただけたでしょうか。
