最近気になる放送用語

「~日目」と「~日ぶり」

「~日目」と「~日ぶり」ということばの使い方が、よくわかりません。

「~日目」はある出来事が起こったその日を「1日目」として数えるもので、年齢の数え方に例えると「数え年(どし)」にあたります。一方、「~日ぶり」は起点となる日は含めずに数えるもので、年齢だと「満年齢」に相当します。ただし「~日目」「~日ぶり」のどちらとも、具体的な日付・曜日をあわせてきちんと言ったほうが親切です。

解説

ある事件が起こったのが2月3日だとしましょう。もしその事件が2月6日に解決した場合、事件発生から「4日目の解決」であり、「3日ぶりの解決」ということになります。覚え方の1つとして、「~日ぶり」は単純な「引き算」(6日-3日=3日ぶり)で、「~日目」はそれに「1」を足したものだと考えておくとよいかもしれません。放送での表現としては、「2月3日に事件が起こってから」などというように「起点」をはっきりとさせるのがよいでしょう。

「~日ぶり」だけでなく、「~時間ぶり」「~週間ぶり」「~か月ぶり」「~年ぶり」なども、すべて「引き算」で計算する(=「満」で勘定する)ことになります。また、これと同じ計算方法のものに「~周年」があります。

「~周年」は、「ある物事が始まってからそれだけの年数が経過したこと」を表します(『明鏡国語辞典』大修館)。ある学校が1980年に開校したとすると、「30周年」を迎えるのは2010年です。人によっては、2009年には「開校から30年目」の時期に入るので「30周年」なのではないか、という意見もあるようですが、これはあまりおすすめできません。この場合、例えば開校翌年の1981年は「開校1周年」(=「満」で勘定する)であって、決して「開校2周年」(=「数え」で勘定する)とは言いませんよね。期間が長くなったとしても、「~周年」は「満」で数えるのが原則だと言えるでしょう。

また、「~周年」はよい意味で記念すべきことに用いるのが一般的で、「阪神大震災○○周年」などとはふつうは言いません。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)