最近気になる放送用語

一両日?

「一両日中にご返事ください」というのは、いつまでに返事をすればよいものなのでしょうか。

「あしたまで」と「あさってまで」の両方に受け取られる言い方ですが、最近では「あさってまで」だと考える人が少なくなってきています。人によって受け止め方が異なることばなので、放送では別の言い方をしたほうがよいでしょう。

解説

「一両日(いちりょうじつ)」というのは、もともと「一日または二日」という意味です。「一両日中に」と言った場合、きょうを一日目・あしたを二日目と考えるか、きょうを含めずにあしたを一日目・あさってを二日目と考えるかによって、解釈が分かれてくるのです。

NHK放送文化研究所では、「一両日中にご返事いたします」という文の解釈についてウェブ上でアンケートをおこないました(2006年10月~11月、 1269人回答)。この言い方に対して、きょうが月曜日だとした場合に、返事はあした(火曜日)までにはもらえるのか、あるいはあさって(水曜日)までにはもらえるのか、といったことを尋ねたものです。

まず全体として一番多かったのが「あしたまで」という答え(61%)でしたが、この答えは女性(65%)のほうが男性(56%)よりも特に多く答えられています。

また、年代差が相当強く見られます。「あしたまで」は、60歳以上ではそれほど多くないのですが、30代では7割に達しています。若くなるに従って「あさってまで」が少なくなって「あしたまで」が標準的になっているのは、社会全体がせっかちな方向に変化していることの反映なのかもしれません。

このように人によって受け取り方が違うことから、放送で使うことば(ほかの人の発言を引用して伝えるときも含めて)としては特に、「一両日中に」という言い方をするよりも、具体的に「~日まで」ということをはっきり言うようにしたほうが的確でしょう。このことは、いつもこのコーナー執筆の締め切り直前になって「一両日中にはなんとか出します」とお願いして編集部を困らせている私が、自戒を込めて申し添えます。

「一両日中」はいつまで?(ウェブ上アンケート、1,269人回答)

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)