最近気になる放送用語

「こんばんは」何時から?

「こんばんは」というあいさつは、放送では何時ごろから使ってもかまわないものなのでしょうか。

「『こんばんは』を使うのが早すぎると思われないために、何時から言うようにしたらよいか」というのは気になる問題ですが、残念ながら一概には決められません。「あたりがどのくらい暗くなっているか」ということと強く関連があるため、地域・季節によって異なるのです。また、日没の時点では「『こんばんは』にはまだ早い」と感じる人も多く、注意が必要です。

解説

前回は「おはようございます」についての話題でした。今回の「こんばんは」についても、NHK放送文化研究所での調査結果があります。テレビで出演者があいさつする場合に「こんばんは」は何時から言ってもかまわないか、というものです(詳しくは『放送研究と調査』2002年3月号をご覧ください)。

「おはようございます」では、年代による意識の違いが目立っていました。いっぽう「こんばんは」では、地域による違いがたいへん際立っています。

「こんばんは」何時からOK?(アンケート、12月調査、1,272人回答)

調査の時期は冬ですが、「こんばんは」は午後5時から可、という回答は、北海道では半数を超えているのに対して、九州沖縄では10%にも達していません。これは、地域によって日没の時刻が異なるからです。調査した12月上旬の「日の入り」の時刻は、札幌が午後4:00、福岡が5:10となっています。

日が沈んでからも、1時間弱程度は「薄明」と言って空がほのかに明るい時間が続きます。この「薄明」の時間帯では、まだ「こんばんは」というあいさつには抵抗があり、日が沈み終わって本格的に暗くなってきてから「こんばんは」と言うのが、一般的な使い方のようです。

「こんばんは」の使用開始時刻は、あたりの明るさが規準になっているので、「一年中同じ」というわけにはいきません。また、そのニュース・番組を視聴する方々の地域はどこからどこにわたっているのか、ということに気を付けておく必要があるでしょう。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)