最近気になる放送用語

何=なに? なん?

字幕スーパーで「その地域に住んでいるのは何人ですか」と書いたところ、どう読んだらよいのかわからない、という意見がありました。

「何人」の読み方についての問題ですね。これは「ナニジン」とも「ナンニン」とも読めますが、どう読むかによって意味が変わってきます。誤解のおそれがあるときには、ひらがなで書くか、別の言い方をするなどの工夫が必要でしょう。

解説

漢字「何」は、訓読みとしては「ナニ」「ナン」の2通りがあります。そして、この3月に新しく出た『NHK新用字用語辞典 第3版』には、「ナン」という読み方は「特別なものか、または用法のごく狭いものである」と書かれています(p.612の「何」の項)。では、「ナン」はどのように「特別」なのでしょうか。「何」の読み方について、大まかな傾向を考えてみます。

まず「ナニ」と読む場合は、「どんな(もの)」(=what kind of、 which)という意味で用いられるのが一般的です(「質」にかかわる、と言えます)。

  • 何色(ナニイロ)、何部(ナニブ)、何県(ナニケン)

いっぽう「ナン」と読むことばには、「いくつ」(=how many)という意味のものが多いのです(「数」にかかわる、と言えます)。

  • 何色(ナンショク)、何部(ナンブ)、何県(ナンケン)

ですから、たとえば「そのボールペンは何色ですか」という問いも、「ナニイロ」と読めば「赤/黒/…」という答えになるでしょうし、「ナンショク」であれば「3色/4色/…」ということになります。

同じように、今回の質問「何人」については、「ナニジン」だと「どんな民族・国籍なのか」、「ナンニン」では「人数はどのくらいなのか」、を尋ねていることになります。

新規採用者の皆さんが配属される放送局は、何局になるでしょうか。そして、このあと経験する勤務地の数は何局になるのでしょうか。活躍を期待しています。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)