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ご飯を茶碗に「○○○」

「ご飯を盛る」と「ご飯をよそう」とは、どう違うのでしょうか。

「盛る」は、「山のような形になるようにする」のが中心的な意味です。ですから、「ご飯」は盛ることはできても、「みそ汁」は盛れないと考える人が多いでしょう。いっぽう「よそう」にはそのような限定はなく、「ご飯」だけでなく「みそ汁」も器によそうことができます。なお、このほかに「(ご飯を)よそる・つぐ・つける」なども使われています。

解説

まず「盛る」について説明します。「山盛り」「てんこ盛り」などのことばから、「盛る」は「山のような形になるようにする」という意味であることがわかるでしょう。万葉集に「家にあれば笥<け>に盛る飯<いひ>を草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る」という歌があるように、「盛る」はかなり昔から使われている伝統的なことばです。

次に「よそう」についてですが、これは「身だしなみを整える」の「装<よそお>う」と同じ語源で、「整える」というのが本来の意味です。ここから、食べ物を器に整えて用意することを「よそう」と言うようになりました。「よそう」をこのような意味で使った例は10世紀ごろにはすでに見られます。ことばの成り立ちから、やや上品な意味合いを帯びることがあります。

また「よそる」は、「よそう」と「盛る」が1つになったもの(混交語)で、比較的新しいことばです。新しいとは言っても100年以上前の辞書にはすでに載っており、現代では「よそる」が誤った言い方だとはもはや言えないでしょう。

「つぐ」については、「お酒を注<つ>ぐ」のように液体の場合には問題なくても、「ご飯をつぐ」のように固体の場合には違和感がある、と言う人もいます。

これらのことばの使い方には、地域差もあります。特徴的なこととして、北海道と東北は「ご飯を盛る」、関西では「ご飯をよそう」、九州では「ご飯をつぐ」が優勢なことが挙げられます。

(メディア研究部・放送用語 塩田雄大)