やさしい日本語の試み
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「災害時に、日本語能力がそう高くない人でも、日本語話者の努力と協力で一人でも多くの外国人を救おう」という発想から、文部科学省の科学研究費補助金を受けて、弘前大学の佐藤和之教授を中心に研究が進められている。
具体的には次の点に注意して日本語をやさしいレベルにするものである。
- 1文を短くして文の構造を簡単にする。
- 災害時に使われる難しいことばで外国人が知っていたほうがよいと思われることばはそのまま使い、
そのことばの後に言いかえを付ける。 - 外来語は外国人にとって誤解されるおそれがあるので気をつけて使う。
- 動詞の語幹部分を名詞化したことばはわかりにくいのでできるだけ動詞文にする。
- 否定の表現を使う場合でも二重否定文は使わない。
- 助詞はなるべくわかりやすいものを使う。
- あいまいな表現は避ける。
- 漢字表現は漢字圏の人には伝わりやすいが、非漢字圏話者には不利になるので使用量に注意する。
また、漢字にはルビ(ふりがな)を付ける。
実際に「やさしい日本語」を災害時に運用しようとすると、「災害用語」は約2000のことばには含まれていない。
これらの単語を、外国人にも理解してもらうよう日本語教育も変更しなければならない。
実際に「やさしい日本語」を話す場合は、日本語を母語とする日本人にも不自然に思われないような読み方が必要になる。さまざまな課題はあるが、「やさしい日本語」は発災時の心身ストレスによる理解力の一時的な低下に対する対策として、ごく限られた時間での利用が考えられる。